ある調査によると、世界で一番病院に多くかかるのは日本人だそうです。


そのためか、薬の消費量も日本は他国を圧倒しており、人口は世界の60分の1なのに降圧剤(血圧の薬)の4割が日本で使われていると聞いたことがあります。


何かあったらすぐ病院へ、というのが日本人の常識で、病院に行けば薬をもらうものだと多くの人が思っています。


病院や薬で多くの命が救われているのは事実ですが、不必要な薬や過剰な薬で健康を損なう人がたくさんいるのも日本のもう一つの残念な事実だと私は感じます。


今日はそのことについて述べてみたいと思います。

目次

1,コロナ後遺症は薬やワクチンも原因のひとつ

先日コロナ感染後の体調不良を訴える患者さんを治療しました。
長引く咳と倦怠感、胃腸の不調にお困りの方です。

3回の鍼治療で食事が十分に取れるようになり、倦怠感や咳もなくなり健康を回復されたのですが、この方の体調不良はコロナによって引き起こされたものではなく、病院で処方された抗ウイルス薬が原因のようでした。

服薬後に下痢が続くようになり食欲も落ち、少し食べるとお腹が張るようになりました。
熱や喉の痛みが治ったあとも、だるさが続くのは薬により胃腸が弱り体力が回復しないからです。

胃腸が弱ると体の水分代謝が失調し、うまく巡らない水分が痰として喉に絡むので咳が長く続きます。

抗ウイルス薬は、ウイルスの遺伝子複製を阻害することで増殖を抑えるのですが、体で新しい細胞が作られるのも抑制してしまうため様々な副作用が現れます。

自宅で寝ていれば治るオミクロンの治療に、このような強い薬を処方するのは問題ではないでしょうか。

わたしは、数名しかコロナ後遺症の方の治療経験がありませんが、コロナ後遺症と言わる方のうちかなりの方が、病院で処方される薬やコロナワクチンによる後遺症ではないかと考えています。

それは日本では「オミクロンは重症化しないが後遺症は多い」と言われているのに対して、諸外国ではオミクロンは「ただのノド風邪」と言われほとんど問題視されていないからです。

ワクチン接種率が世界一で、病院受診率も世界一の日本でのみ後遺症が騒がれるのは、薬やワクチンに原因があると考えるのは自然なことではないでしょうか?

2,インフルエンザ脳症も日本にしかない

インフルエンザ脳症という病気をご存知でしょうか?

インフルエンザにかかったあとに、けいれん、意識障害、異常行動などの神経症状がみられ、さらに、血管が詰まったり多臓器不全がおきるなど命に関わる重篤な症状も現れる病気です。

自宅療養中の小学生が、突然マンションの窓から飛び降りて死んでしまった、というショッキングな例もあります。

このインフルエンザ脳症は、奇妙なことに日本以外の国では報告されていません。
日本にだけ存在する病気なのです。

日本人の体質に原因があるのでしょうか?
それとも日本のインフルエンザだけ毒性が強いのでしょうか?

そんなことはないはずです。
おそらくインフルエンザ脳症も薬が原因です。

インフルエンザ脳症は、サイトカインストームという免疫機能の暴走、過剰な免疫反応が原因と言われています。

この過剰な免疫反応は、発熱を薬で無理に下げたときに起こります。

ウイルスに感染したときに、免疫細胞はサイトカインという物質を出して体温を上げます。
体温が高いほうが免疫が活発に働くからです。

ところがこのとき薬で熱を無理に下げると免疫力が高まらないために、免疫細胞はサイトカインをたくさん出してなんとか免疫力を高めようとします。

この機能が強く働きすぎたのがサイトカインストームであり、発熱を薬で無理に下げなければこのような事は起こらないのです。

日本ではインフルエンザは病院に行くものと思われていますが、諸外国では寝ていれば治る病気とされています。

そもそも日本以外の国では風邪をひいても病院に行きませんし、病院に行ってもお医者さんは薬をくれません。「寝ていれば治りますよ」と言われるそうです。

もちろん風邪の熱を薬で下げるようなこともしません。
熱を下げないほうが免疫力が高まり、風邪が早く治ることを知っているからです。

ですからインフルエンザ脳症は日本以外の国では起こらないのです。

3,症状がないのに飲む薬は危険

不必要な薬により体調を崩すのは、血圧やコレステロールなど生活習慣病の薬でもよく起こることです。

これらの薬はなんの症状もないのに処方されることがよくあります。

健康診断で数値に異常が見つかり、病院の受診を勧められ薬が処方されるというケースです。

また、他の病気で病院にかかった時に、検査で数値の異常が見つかり薬を飲むようになるというケースもあります。

今はなんの症状もないけれども、ほうっておくと将来命に関わる病気になります。薬を飲んで予防しましょう、というわけです。

一見もっともな話に聞こえますし、将来の怖い病気が薬で予防できるなら検査を受けてよかったと思うでしょう。

ところが薬で血圧やコレステロールを下げても平均余命は全く伸びず、むしろ縮む場合が多いという疫学調査のデータが世界中にたくさんあるのです。

なぜそのようなことが起きるのでしょうか?

それは、体には精巧で微妙な調整作用があり、薬を飲むことで調整作用が乱れるとメリットよりデメリットのほうが多くなりがちだからです。

例えば血圧を例に取ると、薬で血圧を下げると脳出血の発症率は減ります。
ところが、脳梗塞の発症率はむしろ増え、うつ病や認知症の発症率も高くなります。

血圧は体の隅々まで血液を送るために、必要に応じて体の調整作用で高くなったり低くなったりします。

それを薬で強制的に下げれば、一部の病気を予防できても、体全体としては調子が悪くなる部分のほうが多いからです。

頭がボーッとする、だるい、肩がこるなどの症状が、血圧の薬をやめた途端きれいサッパリ消えてしまう、などということがあるのもそのためです。

頭痛やめまいがして血圧が200を超えている、などという場合は薬で下げる必要があるかもしれませんが、なんの症状もなく元気に過ごしている人の血圧が少々高くてもなんの問題もなく、薬を飲む必要などありません。

4,体の声に耳を傾ける

日本は国民皆保険制度があり、病院もたくさんあります。

また職場検診も義務付けられ、医師会などが「〇〇のときはすぐにお医者さんへ」などとテレビCMまで流します。

薬の消費量が多いのも、世界一病院にかかるのももっともなことです。

ですがその結果、自分の体のことは自分ではわからない、病院でお医者さんに検査してもらわなければならない、といった間違った思い込みがみんなに刷り込まれてしまいました。

ですが本当は、体の異常の有無は、体の感覚を通して自分自身で感じ取る能力が全員にあるのです。

また、その異常を改善するためにどうしたら良いのか、ということも体の感覚を通して知ることができます。

例えば、休みたい、こういうものが食べたい、いまは食べたくない、体を動かしたい、冷やしたい、温めたいなどを体の感覚を通して知ることができます。

また、風邪をひいたら暖かくして寝る、消化の良いものを少なめに食べる、など病気の時の伝統的な知恵もご先祖からたくさん受け継がれてきました。

「何かあればすぐ病院に行く」ことよりも、体の感覚に注意をはらうことで体の声に耳を傾け、伝統的な健康の知恵も活用することが、元気で心地よく生きていくためにずっと大切なことなのではないでしょうか?

今日も最後まで読んでいただいてありがとうございました。


参考文献:「このクスリがボケを生む」近藤誠「薬の9割はやめられる」松田史彦 「医者が飲まない薬、受けない手術」宝島社ムック