写真は治療院の近所に咲くしだれ桜、見事な枝ぶりです。

御殿場でも桜の盛りを迎えています。


さて、電話やメールでよくいただく質問に「どのくらいで治りますか?」「何回でよくなりますか?」というものがあります。


早く楽になりたいし、時間やお金の負担が大きいと大変なので、自分の症状がどのくらいで治るか知りたいのはもっともなことです。


しかし、同じような症状でも単純なものと複雑なものがあり、また体質や生活習慣にも個人差があるのでこの質問はなかなか難しい質問なのです。


ですが、「人によって違います」では不親切なので、なるべく詳しくお答えしてみたいと思います。

目次

1~2回の治療で大きく改善するもの

かなりつらい症状が、1〜2回の鍼灸治療でウソのように楽になるという場合があります。

何年間もつらかったのに完全に治ってしまうこともあります。

腰痛や肩こりなど運動器(筋肉や関節)の症状では、このような顕著な効果が表れることがよくあるのですが、

胃痛や下痢などおなかの症状や、頭痛やめまいなどの神経系の症状でもこのような効果が現れることもあります。

1〜2回で治ってしまう腰痛や肩こりの多くは、肩や腰など症状の出ている場所だけに問題のある単純性の腰痛や肩こりです。

姿勢が悪い、運動不足、同じ姿勢での作業などが原因となって、肩や腰の循環が悪くなった場合などにおこります。

治療で症状が取れたあと、運動不足や姿勢を改善することができればもう症状は出てこなくなりますが、単純性の腰痛や肩こりのでは運動不足や不良姿勢が続いていても簡単には症状が戻らないこともあります。

一方、治療で楽になっても時間がたつと再びつらくなる腰痛や肩こりの多くは、全身的な体調や体質などが問題となり起こっている腰痛や肩こりです。

これらについては後ほど説明いたします。

内科系の症状や神経系の症状は、食事、睡眠、ストレスなど原因となる環境や生活習慣の改善が可能な場合には短期間で体調が安定しますが、生活習慣を変えられない場合は治療に時間がかかることが多いようです。

また、遺伝、体質、飲んでいる薬や摂取したワクチンの副作用が原因となって起こっているものは、ある程度の治療期間と回数が必要となります。

これらについても次で説明いたします。

全身的な体調や生活習慣が原因のもの

食事や睡眠などの生活習慣、人間関係のストレス、体質や服用している薬の影響などが原因で出ている症状は、全身的な体調の問題が局所の症状として現れてきたものですから、症状の出ている局所を治療をしただけでは治りません。

詳しくお話を伺った上で、自律神経や内臓機能の調節をおこなう必要があります。全身の体調を整えることで局所の症状が出づらくなるのです。

全身的な治療で体調を整えると、時間がたって再び症状が出てきた場合でも、以前に比べると弱く軽い症状になるのが普通です。

肩や腰などの運動器の症状でも、内科系や神経系の症状でもこのような傾向があります。

「以前よりはずっと楽だし、辛くなったら治療に来ればよい」ということで多くの方が満足されますが、可能であれば生活習慣や環境を見直すことで完全に症状から開放されてほしいと思います。

また、飲んでいる薬が原因で出ている症状については、薬をやめるか他の薬剤に変更する必要があります。

薬の影響が疑わしい症状についてはその旨をお伝えしますので、薬を処方した先生と相談することをお勧めします。

なお、ご自分の症状が1〜2回の治療でよくなる単純性のものなのか、全身的な体調が原因で出てきているものなのかは、ご自分では分かりづらいと思いますが、判断する目安があります。

いくつもの症状が同時に出ている場合や、体の症状に精神的な不調を伴う場合、症状を誘発する生活習慣の乱れがある場合、薬を飲み始めてから体調が悪くなった場合などは、全身的な体調の変化が局所の症状を引き起こしている可能性が高いと言えます。

また、マッサージや整体で楽にならない肩こりや腰痛、薬を飲んでも効果が感じられない内科や神経的な症状も、対症療法では効果がないということであり、症状に対する治療だけでなく全身的な体調を整える治療が必要となることが多いと言えます。

鍼灸の効果は一時的で、心の問題に目を向けるべきもの

まれにですが、治療により症状が楽になっても数日後には完全に元に戻ってしまったり、場合によっては治療前よりも強い症状が再び出てくるケースがあります。

体のどこかの痛みであったり、動悸や息苦しさのようなものであったりと症状は様々ですが、仕事に行けない、学校にいけないなど日常生活に支障をきたすほど強い症状が出ているのに、病院で検査しても「異常なし」と言われることが大半です。

この症状さえなければ仕事や勉強に打ち込めるのに、と本人は悔しい思いをしています。

このような症状は、心の底では「やりたくない」と感じていることを、頭が「やるべきだ」と強制しやり続けている時などに出てくることが多いです。

真面目で自分に厳しい人は、心や体の「やりたくない」という声を意志の力で抑え込みます。

「やるべきだ」という頭の声が強すぎて「やりたくない」という心の声が聞こえない人もいます。

このような時、心と体はこれ以上無理をして自分が壊れることを防ぐために、体に何らかの症状を出して強制的にストップをかけてくるのです。

この症状は、自分を守るために出ているものなので薬でも鍼灸でも取り去ることはできず、心や体の声に耳を傾けるまで何回でも繰り返し出てきます。

これは、「心の問題の身体化」と呼ばれる状態で、頭ばかり使い体や心の声を聞かなくなった現代人に増えている症状の出方です。

症状自体はとてもつらいものですが、心や体の声を無視してきた今までの生き方を見直すチャンスが来ているのだと私は考えます。

このつらい時期に、心や体の声に耳を傾けるためには体の感覚と心の声に意識を向ける身体心理セラピー(OST)が役に立ちます。

身体心理セラピーについてはこちらのページをご覧ください。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。