マッサージの受け方にもコツがある? 「心地よさ」をしっかり感じると自律神経が落ち着く
マッサージの受け方にもコツがある、と言うと驚く方も多いと思います。
マッサージってただ受けるだけじゃないの?コツなんてあるの?と思うかもしれません。
でもあるのです。
そのコツというのは、心地よい感覚をしっかりと感じながらマッサージを受けることです。
マッサージ師と世間話に興じたり、考え事にふけったりするのではなく、皮膚や筋肉から伝わってくる心地よい感覚をしっかりと感じ取るのです。
なぜなら、心地良さを感じることで自律神経の緊張状態が緩むからです。
目次
自律神経の緊張は万病のもと
皆さんはどのようなときにマッサージを受けたくなるのでしょうか?
肩や背中がこっているときでしょうか?
あるいは疲れが溜まって抜けないときでしょうか?
体や心が緊張してよく眠れなくなった、というときかもしれません。
そのようなとき、私達の体では自律神経の緊張状態がおきていることが多いのです。
自律神経が緊張しているために、肩や背中に無意識のうちに力が入り固くなる、
自律神経の緊張が、呼吸を浅くし胃腸の働きを乱し体から疲労を抜けづらくする、
緊張感のために布団に入ってもなかなか寝られず、やっと寝付いても眠りが浅く、朝起きたときに体が重い、そういった事が起きているのです。
昔から「風邪は万病のもと」と言いますが、自律神経が緊張すると免疫力が落ちるために風邪もひきやすくなります。
風邪をひくのも自律神経の緊張から
少し話が脇道にそれますが、昭和30年ころまで日本人の死亡原因の1位は結核でした。
また、結核以外にも様々な伝染病が多くの人の命を奪いました。
それらの伝染病は風邪に引き続いて発症したり、風邪に似た症状で始まったりしたために、風邪をひかないように気をつけることは、命を守る上で最重要だったのです。
結核などの伝染病で亡くなる人が減ったのは、食糧事情が良くなったからだと言われています。
栄養を十分に取れるようになったことで免疫力が上がり、細菌やウイルスに負けなくなったのです。
しかし、栄養を十分に取っていても自律神経の緊張状態が続けば、免疫力が十分に働けず細菌やウイルスに体は負けてしまいます。
まさに現代では自律神経の緊張こそ万病のもとと言えるのです。
「危険だ」と体や心が感じている
では、自律神経はなぜ緊張するのでしょうか?
一言で言えば「危険だ」と体や心が感じているからです。
筋肉がこわばり体に力が入るのも、心臓の鼓動や呼吸が早くなるのも、いつでも逃げたり戦ったりすることができるようにするためです。
食欲がなくなり眠れなくなるのも、周囲を警戒しているからです。
免疫力が落ちるのも、目に見えない細菌やウイルスよりも、目の前の敵から身を守ることを優先して免疫にエネルギーを割くことを体がやめるからです。
このように自律神経の緊張は、危険から身を守るために必要な体の反応なのです。
目の前に敵や猛獣がいるときに、体がこの反応を起こすことで、私達の祖先の命は守られてきたのです。
しかし現代では目の前に敵や猛獣が現れることはほとんどありません。
にもかかわらず、私たちの自律神経は緊張しやすくなっています。
仕事中ふと気がつくと肩に力が入っていたり、休日のお昼は美味しく食べられるのに仕事中の昼食は食欲がない、などということがおこります。なぜなのでしょうか?
心の奥の嫌な想像が「危険」のシグナルを出す
それは、実際の危険が目の前になくても「危険なことになりそうだ」という予想を心の中でしているからです。
「失敗しそうだ」「怒られそうだ」「恥をかきそうだ」・・・
例を挙げるときりがありませんが、様々な嫌な想像が心の中で起きていて、そのような事態に備えるために自律神経が緊張してくるのです。
この嫌な想像は、心の深いところで起きているために自分でも気づかないこともあります。
気づかなくてもそのような時に体の感覚に意識を向けると何らかの不快な感覚、胸のザワザワ感とか、のどの詰まり感など何らかの不快な感覚が感じられると思います。
あるいは、不安、焦り、イライラなど不快な感情が感じられるかもしれません。
これらの感覚や感情は、心の深いところで起きた嫌な想像が引き起こしたものなのです。
そして、心の中で起きた嫌な想像は、ほとんどの場合実際にはそうなりません。
心理学の専門家によれば、心配事の95%は実際には起きないといいます。
私たちは実際に起こる嫌なことの20倍以上も余計な心配をしているのです。
そして、その余計な心配が自律神経を不必要に緊張させて、私たちの健康を損なっているのです。
「心地よさ」は安心・安全のサイン
さて、マッサージを受けるコツの話に戻ります。
無意識に起きてくる嫌な想像、余計な心配が不快な感情や不快な体の感覚を引き起こし、自律神経を緊張させます。
この緊張を緩めるには、心地よい感覚を皮膚や筋肉でしっかりと感じて、神経を通じて脳に心地よさを伝えてあげることが役に立ちます。
ですから、マッサージを受けるときにはおしゃべりに夢中になったり考え事を続けたりするのではなく、マッサージの心地よさに意識を向けるのがよいのです。
そして、マッサージは痛くないマッサージがお勧めです。
痛いマッサージでは自律神経が却って緊張してしまうことがよくあるからです。
力を入れてゴリゴリもみほぐしたりしなくても、自律神経の緊張が緩めば筋肉から力が抜けて自然とコリはほぐれるのです。
心地よい感覚を感じると自律神経の緊張がゆるむという法則は、マッサージに限ったことではありません。
味覚、嗅覚、聴覚など様々な感覚を通して入ってくる心地よさや、家族・友人・恋人あるいはペットなど好きな相手からの愛情を感じることも自律神経の緊張を緩めてくれます。
おいしい料理、好きな香り、美しい音楽や自然の音、温泉などあなたに心地よさを与えてくれるものは自律神経の緊張を緩めるのに役立ちます。
「嫌だ、不快だ」というのは危険のサインとして自律神経を緊張させますが、「心地よさ」というのは安心や安全のサインなのです。
情報過多の現代社会では自律神経の緊張が起きやすい傾向があります。
心地よさをしっかりと感じる、という時間を持つことで緊張しがちな自律神経を緩めて体の回復力と免疫力を高めてあげてほしいと思います。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。