暖かい場所にいたり緊張したりすると、顔や頭、上半身などが急にほてり汗が出るという症状に悩まされる方がいます。


この症状はホットフラッシュと呼ばれ、50歳前後の女性に好発し更年期障害の代表的な症状とされており、婦人科で薬をもらっている方もいますが、効き目が十分でないことも多いようです。


このホットフラッシュには鍼灸治療が効果的で、多くの方が薬を飲まなくてもほてりや発汗が出現しなくなります。


このホットフラッシュの原因と治療法についてご説明します。

目次

「一回の治療でホットフラッシュが緩和されました」

最近当院にお寄せ頂いた50代の女性からの口コミです。抜粋して転載します。

「会社の方からの紹介でお世話になりました。更年期なので、さまざまな症状があり、先生は一つ一つ丁寧に話を聞いて下さりました。 〜中略〜 肘から肩にかけての強張りは一回の鍼治療で改善され、夜にふくらはぎがつるのもなくなり、1番驚いたのは、ホットフラッシュが緩和されたことでした。まさかそんなところまで効果があるとは。
また何かあったら、こちらの治療院にお世話になります。」 沼津市、A様

この方のように、ホットフラッシュは1〜2回の治療でかなり緩和されることが多く、数回の治療でほぼ感じなくなるのが一般的です。

更年期にはホットフラッシュの他にも肩こりやめまい、イライラや頭痛など様々な症状を伴うことが多いのですが、これらの症状は相互に関係があり同じ原因で起こっていますので、Aさんのようにホットフラッシュとともに緩和され楽になるのが普通です。

ホルモン補充より自律神経の調整が重要

ホットフラッシュは現代医学では、閉経期が近づくことでエストロゲンというホルモンが減少し、それが原因で引き起こされる症状である、と説明されています。

そして、減少したホルモンを薬で補充する「ホルモン補充療法」が行われます。

ホルモンが減ったのだからホルモンを補充する。なるほどもっともですが、実際にはホルモンを補充しても十分に楽にならないことが多々あります。なぜなのでしょうか?

それは、ホットフラッシュなどの更年期の症状は、ホルモンが減少したから起こるのではなく、ホルモンの減少によって自律神経のバランスが崩れたから起きるからです。

ホルモンが減少しても自律神経のバランスが取れていればホットフラッシュは出ませんし、ホルモンの量は正常でも自律神経のバランスが崩れればホットフラッシュが起きることもあるのです。

エストロゲン分泌が十分な若い女性や、もとからエストロゲンの少ない男性でもホットフラッシュが起きることがあるのは、そのような理由によります。

ホルモンの減少は自律神経のバランスを崩す要因ではありますが、ホルモンを補充しても自律神経のバランスが回復するとは限らない。
そのため病院で薬をもらっても、十分に楽にならない方がたくさんいるのです。

「気の渋滞が熱を生む」中医学からみたホットフラッシュ

更年期にはホットフラッシュのほかにも様々な症状が現れます。

頭痛やめまい、耳鳴りやイライラなどがよく見られますが、不眠や動悸、便秘やお腹の張り、胸苦しさや呼吸のしづらさなどに悩まされる方もいます。

これらの症状に共通しているのは、自律神経のうち交感神経の過活動がおきていることです。

交感神経が過活動になると、体と心が緊張した状態になります。

気づくと肩に力が入っていたり、歯を食いしばっているなんてこともあります。
このような筋肉の緊張が体のあちこちに痛みやこりを出し、平滑筋という内臓の筋肉に緊張が及ぶと動悸、便秘、息苦しさなども出てきます。

精神が緊張するとイライラしたりよく眠れなくなったりします。

このように心身が緊張した状態を中医学では「気滞(きたい)」と呼びます。体を動かすエネルギーである気が渋滞を起こした状態です。

エネルギーが詰まったために、その部分に緊張が起こるのです。

そして、緊張状態が続くと体の内側で少しずつほてりを生じます。

ほてりはしばらくの間、体の内側に押し留められていて意識されませんが、温度の高い場所に行ったり緊張したりすると、まるでダムが決壊して水が溢れ出るように、顔や頭などが熱くなり汗が出てくるのです。

ホットフラッシュの治療と養生

心身の緊張が続きほてりを生じたこの状態を、中医学では「気鬱化火」と呼びます。気が鬱滞して火に変化した、という意味です。

このような状態のとき中医学では必要なツボに鍼治療を行ない、渋滞した気を巡らせ、心身の緊張を取り、顔や頭などにのぼった火を清するということを行います。

自律神経の調整は現代医学の苦手な分野ですが、中医学では2000年以上の臨床経験のある得意な分野の治療ですので、大半の方は速やかに症状が楽になります。

ホットフラッシュや肩こり、頭痛などが落ち着いた後は、時々マッサージを受けていただくと自律神経のバランスの取れた状態を維持することができます。

また適度な運動も自律神経のバランスを維持するうえで有効で、中でも特におすすめなのは朝のウォーキングです。

ウォーキングにはセロトニンという心身のリラックスに有効なホルモンを分泌する作用がありますが、朝の時間帯に歩くとより効果が高まることが知られています。

まだ更年期に差しかかっていない人も、ウォーキングやマッサージを積極的に取り入れて自律神経のバランスの良い状態を維持しておくと、更年期の諸症状を予防する効果があります。
ぜひ生活に取り入れてみてください。

今日も最後まで読んでいただいてありがとうございました。