「座っていると痛い」というタイプの腰痛があります。

デスクワークや車の運転など座って仕事をする人が、このタイプの腰痛になると毎日の仕事がとてもつらいものになります。


「座っていると痛い」タイプの腰痛はさらに、背中を丸めて座ると痛いけれども背筋を伸ばせば大丈夫なタイプと、座り方には関係なく同じ姿勢でいると痛いというタイプの2つに分けられます。


目次

背中を丸めて座ると痛い:椎間板タイプ

正座など背筋を伸ばして座っていると痛まないのに、ソファーや車のシートに座っていると痛くなるというタイプの腰痛は、椎間板に痛みの発生源がある場合が多いです。

椎間板は、背骨と背骨の間にある軟骨でできたクッションです。

立っている時や正座をしているときには背筋が伸びて、椎間板全体に均一に体重がかかりますが、背中を丸めた姿勢では腰のカーブが失われて椎間板の前方(おなか側)に圧が強くかかります。

この状態が続くと椎間板が後ろに膨らんだ状態になり神経が刺激され痛みが出てきます。
(図参照)

なお、このタイプの方は立っている時や歩いているときには大丈夫ですが、靴下を履く時やものを拾うときのように腰を前に曲げると痛みを感じ、朝起きたときにも腰が痛いという方が多く見られます。

軟骨に裂け目を生じた椎間板ヘルニア

椎間板への負担がさらに大きくなると、軟骨に裂け目が生じて椎間板の中心にある「髄核」というゼリーのような物質が表に飛び出してくることもあります。(図参照)

この状態が椎間板ヘルニアで、身動きの取れないような激痛を腰や足に生じることもあります。

椎間板ヘルニアは、ギックリ腰のように外から強い力が加わり急に生じることもありますが、不良姿勢による椎間板への負担が長期間続いた後におこることもあります。

デスクワークや運転が長い方は姿勢にお気をつけください。

また、新型コロナワクチンの接種後にひどい腰痛や神経痛を発症し、症状の特徴から椎間板ヘルニアが疑われる方を多く見ます。

新型コロナワクチンは、自己免疫反応により体の各所に痛みや炎症を起こすことがありますが、椎間板や脊椎に対しても悪影響が及ぶと思われます。

mRNA型の遺伝子ワクチンの接種は慎重に判断してほしいと願います。

椎間板に効果的なマッケンジー体操

椎間板に問題があるタイプの腰痛にはマッケンジー体操が効果的です。

ネットで調べられますので、背中を丸めて座ったり、靴下を履くときに腰が痛いという方は検索してみてください。

なお、このタイプの腰痛の改善に一番効果的なのは鍼灸治療です。お困りの方はご相談くださいね。

同じ姿勢でいると痛い:お酒や食生活が影響した腰痛

同じ姿勢でいると腰が重苦しく痛み、姿勢を変えると楽になるが時間が経つと再び重苦しく痛むというタイプの腰痛は、体の中の水分の循環が悪くなって起こるタイプの腰痛です。

同じ姿勢でいると腰が痛むので、頻繁に足を組み替えたり時折立ち上がって歩き回ったりということを繰り返しています。

冷湿布を貼ると気持ちよいという方が多く見られますが、ホッカイロで温めていると気持ち良いという方もいます。

冷やすと気持ちいい「湿熱」腰痛

湿布で冷やすときもちよいという方は、東洋医学で「湿熱」と呼ばれるタイプで、アルコールの飲み過ぎや砂糖や油脂、乳製品などの摂りすぎにより体に老廃物がたまって循環が悪くなり慢性的な炎症を生じたために起こった腰痛です。

パンやパスタ、ピザなどの小麦製品を多く食べる方にもこのようなタイプの腰痛が生じやすくなります。

また、ストレスなどによる自律神経の緊張が続くことで、血液循環や水分の流れが悪くなり、やがて慢性的な炎症を生じて腰痛が引き起こされる場合もあります。

この「湿熱」タイプは病院に行っても治らないタイプの腰痛の筆頭ですが、鍼治療により比較的速やかに痛みが改善します。

しかし、アルコールや油、砂糖の多い食生活を続けていると再発しますので、禁酒または節酒し、ごはん(お米)をしっかり食べて油や砂糖、小麦などを摂りすぎない食生活に改めることが大切です。

温めると気持ちいい「寒湿」腰痛

一方、温めると気持ちが良いというタイプは「寒湿」と呼ばれ、冷え性や体力不足傾向のある方が冷えや湿気を体に受けて循環障害を起こしたタイプの腰痛です。

外から体に入り込んだ冷えや湿気が原因ですので、寒い日や雨降りの日に痛みが強くなる傾向があります。

昔はこのタイプの腰痛が非常に多かったため、温泉に湯治に行くことで腰が楽になる人が多かったのですが、現代ではこのタイプの腰痛は少数派になったために、湯治の効果も限定的になりました。

病院で赤外線などの温熱療法を受けることで一定の改善が見られますが、鍼とお灸で治療するほうが即効性があり完治が望めます。

お困りの方はぜひご相談くださいね。