御殿場は今、稲刈りのシーズンです(写真は昨年のものです)

厚労省によると、日本で一番患者さんの数が多い病気は高血圧症だそうです。


しかし、これは血圧の基準値が不当に低く設定されているために、なんの症状もない人までが病人扱いされ薬を飲まされているという側面があり、

高血圧を一番患者数の多い病気と呼ぶことには疑問があります。


わたしは、日本で一番患者さんの多い病気は肩こりだと思います。


肩こりを病気と呼ぶことに違和感を覚える方もいるかもしれませんが、辛くてしょうがないものが病気ではなく、なんの症状もないものを病気と呼ぶ厚労省の分類のほうが、私には不自然に思えます。


今回は、日本の国民病とも言える肩こりのなかで、その原因として特に多い自律神経の緊張と肩こりの関係についてお話したいと思います。

目次

自律神経と肩こりの関係

肩こりには、一過性のものと慢性のものがあります。

一過性の肩こりは、緊張したり慣れない仕事をしたときなどに一時的に感じるコリで、体を動かしたりゆっくり休んだりすれば楽になります。

しかし慢性のコリになるとその程度では楽にならず、マッサージをうけてもまたすぐに凝ってしまうようなひどいコリに悩まされる人もいます。

このような慢性的なコリは、単に肩の筋肉の緊張や疲労により起こっているのではなく、筋肉の緊張を生むような何らかの全身的な問題があります。

そのような問題の中でも特に多いのが、持続的な自律神経の緊張です。

自律神経と肩こりの関係を理解するために、まずは自律神経の役割についてお話します。


自律神経は私達の体を環境に適応させてくれる神経です。

例えば気温が高いときには、毛穴を開いて汗を出し体温を下げ、気温が低いときには毛穴を閉じて外気に体の熱が奪われないようにしてくれています。

このように気温、湿度、明るさ、気圧など様々な環境の変化に、体を適応させてくれているのが自律神経です。

そして、自律神経にはもう一つの大切な役割があります。
それは私達の感情に体の状態を適応させるという役割です。

例えば、緊張した時には体に力が入り筋肉が固くなります。
これは、何かが起こったときにすぐに対処できるように身構えている状態です。

怒ったときには体が熱くなり頭に血がのぼったようになります。
いつでも戦えるように体が準備を整えているのです。

うれしい時、楽しい時には表情がゆるみ自然と笑顔になります。
周囲の人とコミュニケーションを取りやすいように自律神経が顔の筋肉を緩めたのです。

このように自律神経は感情に体の状態を適応させることで、社会的な環境にもわたしたちを適応させているのです。

ですから、緊張したときに肩に力が入り、一時的に肩コリがでるのは自然なことであり、自律神経がきちんと働いているということです。

自律神経をゆるめコリを楽にする

しかし、そのような緊張状態が一時的にではなく慢性的に続いてしまうと、自律神経も緊張したままになり肩から力が抜けなくなってしまいます。

そうなると、肩こりは慢性的なものになり、運動したり休息をとったりしてもコリが抜けなくなります。

ひどくなると肩をマッサージしても、自律神経の緊張が続いているために、すぐにまたコリが戻ってきてしまいます。

やがて慢性的なコリによって血流障害が強くなると、筋肉を触ると痛い、という状態になりマッサージも受けられなくなってしまうこともあります。

ですから、慢性的な肩こりは固くなった筋肉をほぐすだけでは解消されず、自律神経の緊張状態をゆるめることがとても大切になるのです。


この、自律神経の緊張をゆるめるのに一番効果的なのは、私の知る限りでは中医学(中国伝統医学)に基づいた鍼灸治療です。

中医学では自律神経による体の状態の変化を「気の動き」としてとらえ、診断し治療する体系化された理論があります。

そのため、自律神経の問題に対しては精神安定剤を投与するだけという現代医学の方法に比べ、一人ひとりの体の状態にあったきめ細かい治療が可能になるのです。

また安定剤につきものの、だるさや眠気などの副作用や、薬がやめられなくなる「依存性」などの問題も鍼灸にはありません。

慢性的な肩こり、あるいは頭痛や不眠、不安感や緊張感など自律神経の不調による症状でお困りの方はぜひご相談くださいね。

緊張からリラックスへ戻る「自律神経エクササイズ」

またあおば治療院では、心理セラピーのエッセンスを取り入れた15分程度の「自律神経エクササイズ」も行っています。

こちらは、鍼は怖い、緊張するという方にも安心して受けていただくことのできるおすすめのエクササイズで、マッサージと組み合わせることで慢性の肩こりにも高い効果があります

緊張が続くと自律神経も緊張したままになり、慢性の肩こりになると書きました。
ですからストレスを受けたときでも、緊張状態からリラックス状態に早く戻ることが大切になります。

自律神経エクササイズを続けると、緊張状態からリラックス状態にスムーズに戻れるようになっていきます。

また、緊張のもととなるストレスのかかる場面に遭遇しても、以前より緊張の度合いが低くなってきます。

自律神経エクササイズについては、いずれまた詳しくご説明いたしますね。

考えることのバカバカしさを知ろう

世の中にはストレスに強い人とそうでない人がいます。

ストレスに強い人の多くは、緊張状態からリラックス状態へと早く戻ることができます。
そのような人は、いい意味でいい加減な人で、失敗したりうまくいかないことがあっても、「ま、いいか」と思える人です。

一方、ストレスに弱い人の多くは物事をきちんとやりたいという思いが強く、失敗することや人に非難されることを心のなかで恐れています。

そのような人は、ストレスに遭遇すると、その事が頭から離れなくなり、そのことについていつまでも考え続けてしまいます。

緊張する場面からはなれても、頭の中ではその場面に居続けているのです。

そのような方は、考えることのバカバカしさを知ることが大切です。

いままで、考えることで問題が解決したことがあったでしょうか?
一度もなかったのではないでしょうか?

考えても問題が解決しないから、いつまでも考え続けているのです。
そして、考えることで心と体を緊張状態に置き続けるのです。

これでは病気にならないほうがおかしい、と言えるのではないでしょうか?

このような、問題が頭から離れなくなった時には、考えることのバカバカしさを思い出すことです。

そして、まずは体を動かすことをおすすめします。
早足で散歩に出かけるのがおすすめです。
もちろんランニングや自転車、水泳や卓球など他に好きな運動があるのならば、それも大いに結構です。

体を動かすと、自律神経の状態が変わってきます。
すると、頭の中の考え事が少し落ち着いてきます。

その後は五感を使って何かを味わうことをお勧めします。
お茶や食事を味わうのもいいし、音楽や芸術に触れるのも良いです。
きれいな景色を眺めるのもおすすめです。

五感を使って目の前にあるものをきちんと感じると、頭の中の無駄な考えは力を失っていきます。

五感で感じ取れるものは現実に存在するものですが、頭の中の考えは現実には存在しない想像上のものだからです。

想像上の世界から、現実に意識を戻すのは緊張からリラックス状態へと戻る大切な一歩になるのです。


今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。