オミクロン株の感染が増え、静岡県にもまん防が発令されています。
外出を避けなるべく家にいるという高齢者の方も多いようです。

しかし、家に閉じこもっていると気分が沈み、体の調子も悪くなる、という声も聞かれます。感染防止には外出自粛が必要なのでしょうか? また外出自粛の健康への影響はどうなのでしょうか?

目次

オミクロンはほぼ重症化しない

外出自粛の必要性を考えるために、まずは、オミクロンの危険性がどの程度のものなのか見てみたいと思います。

オミクロンは感染力は強いが重症化しづらい、と言いわれます。
実際にはどうなのでしょうか?
1月末のデータをもとに計算すると、日本におけるオミクロンの重症化率は0・03%だそうです。
ちなみに、デルタ株の重症化率は0・6%であり、オミクロンは重症化率が20分の1に下がったことがわかります。
他の病気とも比較してみます。
インフルエンザは世界的には致死率が0・1%とされていますが、日本ではもっと低く0・03%と言われています。
オミクロンの重症化率と同じ数字です。
インフルエンザで重症になっても回復する方もいますので、インフルエンザの重症化率はオミクロンより高いことになります。

インフルエンザを発症すると高熱や節々の痛みに1週間近く苦しめられます。
一方オミクロンは陽性者の大半が無症状です。
大半が無症状ということは、検査は受けていないが感染している方もたくさんいると推測されます。
つまり、オミクロンの実際の重症化率は0・03%よりも更に低いはずです。

インフルエンザより重症化率が低く症状も軽いことから考えても、オミクロンは心配するほどのウイルスではないと私は考えます。
私と同じように考える人も多いようで、日本経済新聞の世論調査によると、新型コロナの感染症法上の分類をインフルエンザ並みへと引き下げることに賛成している人が60%にも達しているそうです

オミクロンが重症化しない理由

オミクロン株が重症化しないのには理由があります。
それは、感染する細胞が変化したからです。

コロナウイルスは表面にあるスパイクタンパクというトゲトゲが、人体の細胞の表面にある受容体に結合して感染します。

デルタ株までのコロナは、ACE2という受容体に結合し感染しました。
このACE2は血管の壁の細胞に存在します。
そのため、感染すると血栓(血のかたまり)ができて、間質性肺炎という特殊な肺炎を引き起こしたり、脳の小さな血管を詰まらせて倦怠感や味覚嗅覚障害などの後遺症を引き起こしました。

ところが、オミクロンではスパイクタンパクにたくさんの変異がおきたために、ノドや鼻の粘膜の細胞にあるAPNという受容体に感染するように変わったのです。
そのためノドの痛みや鼻水などが症状の中心になり、間質性肺炎は起こらなくなったのです。

コロナ治療にあたっているある医師は、市販の風邪薬を飲んで熱が下がるならオミクロン、下がらないなら従来株だと話しています。
オミクロンは風邪と見分けがつきづらいという報道がありますが、見分けが付きづらいのでなくオミクロンは風邪そのものであると言えます。

外出自粛は感染を防止しない

次に、外出自粛の感染防止効果について考えてみます。
外出自粛は2年間繰り返し呼びかけられてきましたが、残念ながら感染防止効果はほとんどなかったと考えられます。

国は感染者が増えると緊急事態宣言などで外出自粛を要請し、感染者が減ると「人流抑制の効果があった」と主張してきました。
しかし、第1波、第2波では緊急事態宣言を出したときにはすでに感染のピークは過ぎて感染者が減り始めていたことがわかっています。

また、1波から5波までいずれも流行の始まりから約2ヶ月で収束していますが、例年のインフルエンザや風邪も、2ヶ月間で流行が収束することが知られています。

風邪やインフルエンザで外出自粛が呼びかけられたことはありませんが、そんなことをしなくても2ヶ月経つと自然と感染は収まるのです。

もし、人と人との接触が多いと感染が広がるのであれば、日本よりも人口密度が低い欧米諸国は感染者が少ないはずですが、実際には人口あたり日本の30倍の感染者が出ています。
感染の広がりと収束にはウイルスの感染力と人の免疫による自然のリズムが存在しており、人流抑制のような方法で食い止めることはできません。

分科会の尾身会長も効果のない外出自粛をこれ以上呼びかけることができなくなったのか「人流抑制よりも人数制限が大切だ」というよくわからない言い方で発言を軌道修正しています。

ウイルスを避けるより免疫強化

外出自粛で感染を防止できないのはなぜでしょうか?
それは、自宅にいてもウイルスを完全には避けられないことと、
自宅に閉じこもっていると免疫力が弱くなってしまうからです。

風邪の季節には、あちこちにウイルスが浮遊しています。
お店の商品やドアノブなど物の表面にもウイルスが付着します。
ウイルスはとても小さいのでマスクの網目もすり抜けます。
ウイルスを完全に避けることなどできません。

コロナでも全く同じことがおこっています。
感染経路不明の感染者が続出するのもそのためです

ウイルスを徹底的に避けるのではなく、免疫力を高めることでウイルスが入ってきても発症しないようにするのです。

これは生活の知恵として昔から知られていることです。
体を冷やすと風邪をひく、寝不足すると風邪をひく、栄養不足だと風邪をひくというのは誰もが知っていることです。

にもかかわらずお医者さんまでもがこのことを忘れたかのように、外出自粛を声高に叫ぶのはこっけいなことです。

免疫力は、精神状態、栄養状態、運動習慣、呼吸の状態、睡眠の質などに大きく影響を受けます。

体を動かし、ご飯をおいしく食べ、よく眠ることが大切です。

自宅に閉じこもっていてはいけません。
外に出て体を動かし、友人知人親戚などとも会い、楽しいひと時を過ごすことも重要です。

うれしい、楽しい、さわやか、といった気分のときに免疫力は高くなり、
不安、おそれ、憂鬱な気分のときには下します。
自宅に閉じこもりテレビでコロナの情報を見て心配するというのは、最も免疫力を下げる行為です。


マスク着用が求められている場所以外では、極力マスクを外すことも大切です。
マスクの網目ではウイルスの侵入は防げませんし、マスクで呼吸がしづらいことで口呼吸になりやすく、口やノドを乾燥させて免疫力を低下させます。

また、息がしづらいことは体を疲れさせますが、疲れた状態では免疫力が弱くなります。

2年間にわたり国民ほぼ全員がマスクを付け続けましたがコロナは続いてきました。
マスクが感染を防ぐというデータは2年が経過しても一つも出てきません。
むしろ、常にマスクをしている人のほうが感染率が高いことを示すデータすらあります。

マスク無しで人に近づくと相手を不安にさせるかもしれません。
周囲への気遣いといった意味でマスクが必要な場面もあるでしょう。
しかし、それ以外の場面ではマスクを外し、深く楽な呼吸をしてあなたの免疫力を高めてください。