五十肩

病院でシップや痛み止めなどをもらってもなかなか楽にならないのが五十肩ですが、ハリの治療はよく効きます。 初期の段階で治療すれば3回位で治ってしまうこともよくありますし、炎症がひどく夜も眠れないような場合でもハリで早く炎症を落ち着かせることができます。
五十肩と、よく似た他の病気
五十肩は肩の関節に起こった炎症で、肩から腕にかけて痛みがあり、腕を自由に動かすことができなくなるのが特徴です。肩に痛みがあっても腕が自由に動くようなら五十肩ではなく他の病気です。
五十肩とよく間違えられるものに次の2つがあります。
1、 頚椎(首の骨)の病気
首から肩、腕にかけて痛みやしびれが出ますが痛くても腕は自由に動かせます。後ろを振り向く、天井を見上げるなどの首の動きで肩や腕の痛みが強くなるのが特徴です。
2、 肩こり
五十才前後は仕事の責任が増してストレスが多くなったり、更年期症状が出たりと肩こりが強くなりやすい年代ですが、腕が自由に動かせるようであれば五十肩ではなく肩こりです。
頚椎の病気も肩こりもハリがよく効きますが、五十肩とは別の病気です。ただし、どちらも肩や腕の血行を悪くして五十肩の原因になることがあるのでハリで治してしまったほうがよいでしょう。
五十肩の3つの病期と治療
① 疼痛期
五十肩の初期です。腕を持ち上げたりひねったりすると痛みますがじっとしていれば痛みません。肩関節の周囲の筋肉やスジに炎症がおこっていますが関節そのものには炎症がおこっていない状態です。
この時期にハリ治療を行なえば1回~3回で痛みが取れて治ってしまうことが多く、②の炎症期に移らないでも済みます。治療のチャンスです。
② 炎症期
筋肉やスジから始まった炎症が肩の関節を包んでいる関節包という袋にも及ぶようになり、じっとしていても痛い、夜中に痛みで目が覚めるなどの症状が出できます。五十肩で最もつらい時期です。 ハリ治療は炎症を早く落ち着かせるために有効ですが週三回程度の集中的な治療が必要です。 この炎症期を長引かせるとスジのこわばりが強く残って関節が硬くなってしまい、痛みがないのに腕が完全には上がらないという「後遺症」が残ってしまうことがあります。
③ 拘縮期
関節の炎症が落ち着き痛みはなくなりますが、長く続いた炎症のため関節包や筋肉、スジが硬くこわばってしまい、「痛くないのに腕が上がらない」という状態になります。 通常は半年から一年ぐらいで徐々に関節が緩み腕は動くようになりますが、すでに書いたように②の炎症期が長く続くと後遺症として腕の運動制限が残ってしまうことがあります。この時期の患者さんには筋肉や関節包の血行を良くし肩の関節を緩めるためにハリ治療とともにマッサージの治療も併用します。 また、自宅で行う運動療法も有効です。
五十肩の運動療法
五十肩では「動かさないでいると筋肉が硬くなってしまうからなるべく動かさなければだめだ」とよく言われます。確かに五十肩には運動療法が必要で、それもできるだけ早い時期から始めた方がいいといわれています。ただし、運動のやり方が悪いとより一層炎症を強くして治りづらくなってしまうこともあります。具体的な運動のやり方は患者さんごとに指導いたしますが、以下の三点を守って運動することが必要です
1、 無理のない範囲で動かす。具体的には少し痛い範囲まで動かすこと。強く痛むところまで動かしてはいけない。
2、 なるべく痛くないときに動かす。一般的には入浴後などの肩が温まっている時の運動がお勧めです。
3、「炎症期」は運動しない 動かさなくても痛む炎症期には運動よりも安静が大切。早く炎症を落ち着けることが必要で、炎症が落ち着いてから運動を行います。